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第八話
ネズミ一匹 |
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封鎖を解いてもらうには、これまで人々が通って自然に出来上がった道を塞いでいる二部屋と、苦心の傑作浄化槽を潰すことを覚悟していたのですが、3週間の擦った揉んだの挙げ句、驚いたことに、背丈程の潅木を一本切るだけで治まりました。
考えてみる迄もなく、何十年、何百年に亘り、一文も払わずに利用できていた道が、通れなくなっても良いなんて人は、私と同じような土地を持つ人か、全く無関係なひとだけで旗色は悪くなる一方です。 じゃ採決に入るかってところで、何と反対の急先鋒だった村長が、今迄の道を通るにしても出来かかってる建物を壊さない方法を考えようじゃないかと言い出しました。 日を改めて二日後現地に集合し、潅木を一本切ることと、浄化槽を車が通ってもいいよう補強することで妥協が成立しました。 他人の土地のどこを横切るかを衆議で決めるなんて、信じ難いでしょうが、共有農地の歴史の長いこの国では、当たり前のことのようです。 それにしても、下手すると3ヶ月はかかるかと覚悟していたのが、なんと3週間で解決するとはアスタマニャーナの国とは思えません。 もう一つメキシコの名誉のために言っておくと、そんな問題一万円も握らせば片付くという大方の勧めに従って、村の三役に人を介してトライしましたが、応じたのは一人だけでした。